大きな者が僕らを忙(せわ)しく喰べて居る

轟っと啼いた春の嵐の名の鳥を
勢い掴んで引っ張れば
其の嘴(くちばし)が眼に刺さる
アイタタタ

其の鳥は夜の鳥と同じ仲間だった
ヒト等は百舌の早餌(はやにえ)、啄ばむミミズ
嘴の、先に挟まる哀れなイナゴ
虚空を見上げる「餌」なのだ

ヨアキムが泣いていたっけ *1

鳥篭を作ったのは誰
もっと大きな鳥なんて
飼えやしない

奇死む歯車
天幕は鉛のヴェール、透明に
背骨に唖(おし)のる瀑布の気圧は
パスカル二乗、

地上を覆う葦などは
そもそもが鳥の巣なのだ

欲望、
音量が耳に痛い


*1) ヨアキム : トールモー・ハウゲンの小説から。:トールモー・ハウゲン著/山口卓文訳,「夜の鳥」,原著1975,福武文庫1991./「少年ヨアキム」,原著1979,福武文庫1991.
トールモー・ハウゲンの小説


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