眼球譚 *1
眼球。
眼球を押し潰す
美事な愚らいに現われた
其の縁(えん)、鈍い光の環(リング)―
潰れた視界に、其れが元々
僕( beaucoup )のショウメイ―
ツカエル-モノは何なのか?
嗅(か)いで振っても何も起(き)ず
キラリと光って其れ切りだ
(―不良品の電球め!)
眼球に、
溜息ためて
ブゥと圧す
―ほら、ソコに見えるのは何だい?
跳び出した汁こそが
人間の、その証
哀しい位に忘れてる
命令は、三歩蹴飛ばし眼を潰れ!
銃口は、ヒトに剥けるなっ!
ケル、ケル、ケルナ、ケルナ、ケル!
ま・ば・た・け・ない―
光の国から揺ら揺らと
眼球水母(くらげ)の
流れ出る。
*1) ジョルジュ・バタイユの小説「眼球譚」( Histoire de I'oeil, 1928. )からタイトルのみ拝借。